研究概要 |
白血球は加齢黄斑変性における脈絡膜新生血管の進展に大きく関与していることが報告されている。そこでRNAi技術を用いて網膜色素上皮細胞-脈絡膜のIntercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)の発現抑制を試みた。In vivoでのsiRNAの導入は困難である。そのため細胞内導入効率を上げるため、siRNAのICAM-1をプラスミドでデザインして、マウスを用いhydrodynamics-based transfection techniqueで導入した。In vivoでの網膜へのプラスミドの導入の有無をGreer Fluorescent Protein(GFP)を用い確認した。導入後1日後より網膜各層へGPFの蛍光が組織学的に確認され経時的に増強し7日後にピークを認めた。同様にICAM-1 siRNAプラスミドをマウスに導入した。ICAM-1の過剰発現方法は、再現性の高い汎網膜光凝固術を行った。感覚網膜あるいは色素上皮細胞のICAM-1の測定はELISAで行った。無治療群では光凝固1日後に発現のピークを認めたため、比較検討は光凝固一日後に行った。対照における色素上皮細胞-脈絡膜のICAM-1発現は2.51±0.52ng/ml/protein、siRNA ICAM-1治療群では1.5±0.32ng/ml/protein(n=12,P<0.01)とそれぞれ有意な抑制効果を認めた。また単球のRPEへの接着をフローサイトメトリーで比較検討したが、光凝固のみては9.5±1.3%治療群では3.9±0.8%と単球の集積を有意に抑制した。以上のようにin vivoでもsiRNA技術を用いて感覚網膜および網膜色素上皮細胞におけるICAM-1抑制できることを証明した。この技術を用いて加齢黄斑変性における所絡膜新生血管の治療効果を期待できる。
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