研究概要 |
マウスES細胞(GFP標識)を神経幹細胞(ES-NSC s)に分化させ、ES-NSC sとトリ初期胚網膜との共培養したところ、ロドプシン陽性細胞に分化させることができた。胚様体形成による非方向性分化ではES細胞から網膜関連細胞への分化はきわめて稀であるが、トリ初期胚網膜との共培養法ではロドプシン陽性細胞への分化効率も高く、さらに、アマクリン細胞、水平細胞、双極細胞などの神経網膜関連細胞マーカーを有する細胞の出現も確認できた。(Photoreceptor cells from mouse ES cells by co-culture with chick embryonic retina. BBRC 332:241-247,2005) このような、in vitto実験成績を受け、in ovc移植実験を行った。トリ胚に移入したマウスES細胞がトリ胚の網膜発生に同調して、その網膜組織内に網膜神経細胞として分化を遂げないかを調べた。マウスES細胞由来ES-NSCs(5x10^<-4>個/50ul)を、放卵直後、放卵後約18時間後、放卵後約30時間後の胚のそれぞれ胚盤下腔、原始線条の頭端部、頭部神経管内へ注入し、7日後の網膜組織を採集し、ロドプシン陽性細胞の有無およびその網膜内局在を免疫組織学的に検討した。 いずれの時期の発生胚でも、成績はほぼ同様であった。総数1000個の実験鶏卵のなかで、7日目の生存胚は約半数であった。そのなかで、網膜組織内にGFP陽性かつロドプシン陽性細胞をみとめたものは約1.2%であった。そのGFPかつロドプシン陽性細胞の局在は、網膜色素上皮近傍のほぼ正所性と思える部位に存在する細胞もみとめたが、あきらかに視細胞領域外と思われる網膜組織内にも観察された。In ovoにおいても、マウスES細胞はロドプシン陽性細胞に分化し得ることが判明したが、その効率は極めて低く、また、その網膜内局在には規則性は認めなかった。
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