Wistarラットをエーテル麻酔し、足底にリポポリサッカライドを200μg注入して実験的エンドトキシン誘発ぶどう膜炎を惹起した。一定時間後(1、2、6、12時間、1、2、5、10日、1、3か月後)に屠殺、眼球摘出した。 眼球の連続切片を作成した。HE染色ではぶどう膜炎誘発後、局所的に前嚢下白内障と思われる部分が1ヶ月後に認められたものもあった。しかし全例ではなかった。上皮間葉系移行のマーカーであるα平滑筋アクチン、コラーゲンの発現が1ヶ月目以降に若干みられた。TGFβ、CTGFなどのgrowth factorは10日後から1ヶ月後に軽度に認められた。各種innterleukin、各種cytokine発現を免疫組織化学とin situハイブリダイゼイションで検討したが、優位な上昇がみられなかったため、再度ラット数を増やして実験予定である。PCNA(proliferative cell nuclear antigen)の発現を免疫組織化学的に調べ、水晶体上皮細胞の増殖能を検討したところ、10日目より核内に若干の染色性が疑われたが、明らかではなかったため再度ラット数を増やして染色し、検討予定である。TUNNEL法により水晶体上皮細胞のアポトーシスをそれぞれ検討したが、明らかに染色されなかった。再度ラット数を増やして染色し、検討予定である。上記切片でTGFβ系の活性化の指標となるリン酸化Smad2、Smad3の核内移行の有無、さらにそれらの発現時間経過、発現部位について、免疫組織化学で検討した。リン酸化Smad2、Smad3は10日目に核内に染色性がわずかに認められた。 いずれもラット数を追加して、さらに検討予定である。
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