効果的なレドックス偏倚方法の開発と効果的な角膜輪部移植拒絶抑制方法について検討中である。 マウス角膜移植モデルや角膜輪部移植モデルを用いた検討により、レドックス偏倚薬剤をdonorおよびrecipientに結膜下投与することが最も効果的であることがわかった。ヒトにおいては頻回点眼で代用できる可能性が示唆される。また、donorとrecipientの組合せに関してはMHCの一部がマッチングしている事によって初めて拒絶抑制効果が期待できる。これは、donor抗原に対するINF-γ産生能がレドックス偏倚によって効果的に抑制されると考えている(77th Annual meeting of the ARVO等で発表)。 また、レドックス偏倚によるアレルギー治療にも取り組み、抗原提示細胞をTh1有意に偏倚させるレンチナンを腸管吸収可能な大きさに微粒子化した物を服用した。これにより、アレルギー症状抑制だけでなく、血中IgE抑制が獲得でき、この効果はレンチナン-単球結合能に比例した。加齢に伴うTh2偏位を予防できる可能性も考えられるため、眼科学会・アレルギー学会・抗加齢医学会で発表した。 最後に、レドックス偏倚を画像で評価可能となる手法を確立した。つまり、グルタチオンのチオール基と結合して発色する薬剤を用いて、凍結切片におけるチオール基の局在を評価できた。この手法により、拒絶反応やぶどう膜炎におけるTh1誘導性マクロファージの浸潤やステロイド治療によるTh2誘導性マクロファージの出現などが観察出来そうであり、現在検討中である。
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