培養網膜上皮細胞ARPE-19の培養条件をA、B、C、D、E、F群の6グループにわけ、グループ毎に3フラスコを用意し、10%FCS合有DMEM/F12で培養した。A、B、C群は培養初期のコンフルエント前に、D、E、F群はコンフルエント後3ヶ月(12週)の時期にA、D群はDMEM/F12(FCS-)、B、E群はDMEM/F12(FCS-)+IL-6(4ng/ml)、C、F群はDMEM/F12(FCS-)+IL-6(40ng/ml)で24時間培養した。各サンプルよりRNeasy mini kit(Qiagen社)を用いてtotal RNAを抽出し、電気泳動(現有設備)による確認、吸光度計による濃度測定をした。各グループより1サンプルのRNAをAmpolabeling LPR kit(SuperArray社)によってchemiluminescence標識をおこないcDNAプローブを合成する。このプローブをGE array Q series(SuperArray社)のCell Cycle Gene Array、Extracellular Matrix & Adhesion Molecules Gene Array、Inflammatory Cytokine & Receptors Gene Arrayにハイブリダイゼーションさせ、イメージアナライザーTyphoon(Amersham社)によってシグナルを検出し、TIFFファイルとして保存した。シグナルを数値化したのちに表計算ソフトを用いてノーマライズし、比較検討した。 細胞接着因子、マトリクスのアレイでは培養時期の相違により発現遺伝子に差が認められるもののIL-6の添加による遺伝子発現の変化は認められなかった。炎症因子のアレイでは培養時期、IL-6の添加ともに遺伝子発現のパターンに差が認められなかった。この結果は増殖硝子体網膜症で上昇が報告されているIL-6は培養網膜色素上皮細胞において細胞外マトリックスの造成や炎症の惹起には関与しないことを示した。 考察として今回得られた結果は当初推察した仮説を否定することとなり、実験系、使用したアレイシステムの見直しを迫られた。
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