1.まず、正常新生仔ラットを用いて、胎児麻酔の肺組織に対する効果を免疫組織学的に検討した。妊娠ラットにモルヒネを腹腔内投与し、新生仔を帝王切開にて娩出後、4時間人工呼吸管理を行った群(胎児麻酔群:FA群)を作成。コントロール群(C群)としてモルヒネ投与を行わずに4時間人工呼吸管理を行った群を用い、新生仔肺血管でのTNF-αの発現を免疫組織染色法を用いて比較検討した。この結果、コントロール群に比べ、胎児麻酔群ではTNF-αの肺血管平滑筋における発現が低下しており、モルヒネが侵襲に対する肺血管平滑筋の反応を抑制することが示唆された。これらのサイトカインは、血管平滑筋を収縮あるいは弛緩させる作用があることが報告されている。さらに、これらのサイトカインは血管壁のリモデリングを引き起こすことで血管壁の肥厚をもたらし、肺高血圧症を重篤化させることが報告されている。この実験から、胎児麻酔により肺におけるこれらのサイトカイン産生を抑制することで新生児遷延性肺高血圧症の重篤化を防ぐことができる可能性が示唆された。今後はラットCDHモデルにて同様の実験を行い、効果を検証していく予定である。 2.妊娠マウスにニトロフェンを胃内投与することで、マウスのCDHモデルの作成に成功した。今後は、ラットでのCDHモデルを作成し、このモデルを用いて、上記の実験を継続していく予定である。
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