研究概要 |
脂肪由来幹細胞から骨髄を生体内で再生する技術を確立した。倫理委員会の承諾を得た上でラット,マウスから脂肪組織を採取し、コラゲナーゼ処理および遠心操作にて脂肪組織由来幹細胞を含む間質細胞を分離した。細胞を通常の細胞培養に用いる10%ウシ胎仔血清含有DMEMにて継代培養し、増殖させた。細胞が3次元的に増殖する環境を与えるために必要な、支持担体に細胞を播種した。支持担体にはハイドロキシアパタイトの素材を用い、細胞は1cm×1cm×0.5cmほどの支持担体に対し、1×10^6個用いた。細胞を播種した支持担体をマウスやラットなどの皮下に移植し、通常の術後管理を行い、移植後2ヵ月で、造血機能および骨髄の組織が再生されたことを確認し、評価した。ハイドロキシアパタイトの気孔内に骨基質が再生されており、なおかつ骨基質に囲まれて骨髄様組織が確認できた。ただし、骨髄を形成している血液細胞に関しては、ドナー由来であることを証明できておらず、今後の課題である。この結果は学会ならびに論文として報告した。 なお、ラット皮下で再生した骨髄組織を、皮弁として一塊に採取し、マイクロサージャリーによる血管吻合を用いて左の鼠径部から右の鼠径部に移植する実験を行った。血管系と共に移植された骨髓は、移植先においても骨髄様の形態を維持していた。この結果については学会報告を行い、現在論文執筆中である。また、再生骨髄の機能解析を行う目的で、PPAR-γ-GFPトランスジェニックマウスを作成する計画をたて、fusion vectorの発現確認を委託研究として行い、成功した。
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