研究概要 |
第7週齢のWistar系雄性ラット(N=8、体重210g)を用い、ペントバルビタール腹腔内投与によって麻酔後、頚動脈に脱血用のカテーテルを挿入し、6ml/hで脱血を行った。大腿動脈に血圧測定用カテーテルを挿入し動脈圧測定を、また、脳血流量を頭蓋骨上からレーザーフローメーターを用いて測定した。動脈圧と心電図波形はwavelet法を用いて周波数解析を行なった。 脱血に伴い、平均動脈圧(0分→20分→40分→60分:87.4→55.4→44.8→39.4mmHg, repeated ANOVA ; P=0.001)と脳血流量(46.3→36.1→28.0→21.8ml/min/100mg, P=0.008)は低下した。血管交感神経活動を示唆する収縮期血圧変動のLow frequency (0.27-0.74Hz)成分のamplitude(0.23→0.21→0.17→0.14ms/vHz, P=0.26)は低下傾向を示唆するものの、脱血中の変動に関して有意差を認めなかった。 心電図RR間隔(156→186→160→121ms)は心静止前(脱血開始66〜84分後)に222msに延長した(P=0.03)。心臓迷走神経活動を示唆するRR間隔のHigh frequency (0.74-2.00Hz)成分のamplitude (0.18→0.39→0.13→0.21ms/vHz)は2.10ms/vHzに上昇した(P=0.01)。 以上から、出血性ショックによる心静止の直前にはRR間隔の延長が認められ、RR間隔のHF成分の上昇が認められた。迷走神経緊張が病態に関与している可能性が示唆された。
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