平成18年度の計画であった脳虚血モデルマウスの細胞移植に関して。 脳虚血モデルマウスを作成後、塞栓子を挿入していた外頸動脈から細径のカテーテルを留置し動脈内に投与するモデルをすでに前年度に確立しており、投与する細胞として別のマウス骨髄から骨髄単核球を採取し、この移植を行った(経動脈投与群)。コントロールとして、脳虚血後の移植に眼窩静脈叢を用いて同量の細胞移植した群(経静脈投与群)を作成した。 移植後の生存率は、経動脈投与群と経静脈投与群とで有意差は得られなかった。移植6週間後に賭殺し、組織学的に評価した。ニッスル染色では梗塞巣に明らかな有意差は認められなかった。血管発生の評価を行うため、血管内皮細胞のマーカーとしてCD31を用いて、免疫組織学的に検討した。経動脈投与群では経静脈投与群に比して、梗塞巣には血管の増生が得られていた。 移植細胞が血管内皮細胞に分化するか否かを検討するために、遺伝子改変マウス(GFPマウス)をドナーとして用いて検討した。梗塞巣に増生した血管内皮にはGFP陽性細胞は認められず、移植により、移植細胞そのものが血管内皮細胞に分化するわけではなく、移植したことによるサイトカインなどの反応によりレシピエントの細胞から血管増生が生じたと考えられた。 現在、動脈内投与した移植細胞が、虚血により障害を受けた部位に一時的に生着することを確認中である。また細胞移植によるサイトカインの変化を検討する予定である。
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