Neuropeptide Y (NPY)はY_3受容体を介して、神経原性肺水腫の発生における重要な役割を果たしている。normoxia状態においてNPYがY3受容体を介してラットの大動脈内皮細胞の透過性を亢進させることを報告してきた。NPYはY_2受容体を介して、虚血状態で骨骼筋の血管新生を促進する。我々はNPYの血管内皮細胞増殖作用およびNPY Y_3受容体とこの増殖作用との関連性について検討した。ラットの大動脈から内皮細胞を単離し、培養した。比色定量分析法による生細胞数を測定した。NPYはnormoxia状態で血管内皮増殖作用が見られないが、hypoxia(10%O_2)状態で、濃度依存的に内皮細胞増殖を増強した。この増強作用は、PYY単独で、見られないし、NPY Y_3受容体の拮抗薬であるNPY(18-36)の前投与による、拮抗されたことから、Y_3受容体を介することを示唆した。また、この増強作用は百日咳毒素で抑制されたことから、G_i-proteinが関係することが示した。PLC、PKC、CaM KII、PI3KなどのinhibitorによるNPYの血管内皮細胞増殖作用はブロックされることから、これらの物質はNPYの内皮細胞増殖作用シグナル伝達に関与することが考えられる。NPY Y_3受容体のシグナル伝達の解明とともに、Y_3受容体の新しい生理作用の同定および神経原性肺水腫などの病態発生の役割の解明を期待されている。(論文作成中)。 NPY Y_3受容体クローニングは酵母のtwo-hybrid法を用いて、ラットのNeuropeptide Y cDNAを融合したbaitプラスミドを構築し、酵母に導入した。ラット血管内皮細胞のcDNAライブラリをAD vectorに組み込んで、baitプラスミドをtransformingした酵母にてpositiveコロニーをスクリーニングした。今、一次スクリーニングが終わって、二次スクリーニングおよびin vivoで、タンパク質とタンパク質の相互作用を確認している。
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