研究概要 |
血管内皮細胞の増殖実験系を用いて、Neuropeptide Y(NPY)Y_3受容体との関連性を検討していた。正常状態(20%O_2)において低濃度のNPY(10^<-14>-M^<-10>M)は濃度依存的にラット大動脈内皮細胞の増殖を促進し、10^<-12>M濃度では最大の効果になる。低酸素状態(10%O_2)では、NPYは10^<-12>2Mと10^<-8>M濃度で、それぞれの最大効果を示し、二相性の増殖促進作用が見られたことに対し、NPY_<18-36>(Y_2受容体アゴニスト、Y_3受容体アンタゴニスト)、Ala-NPY(Y_5受容体アゴニスト)、NPY_<3-36>(Y_2,Y_5受容体アゴニスト)あるいはPYY(Y_1,Y_2,Y_4,Y_5受容体アゴニスト)単独投与は内皮細胞増殖作用がなかったことから、Y_3受容体を介することが考えられた。百日咳毒素(G_iタンパク質阻害剤)の前処理によってNPYの細胞増殖促進作用を抑制されたことからY_3受容体もGタンパク質共役型受容体であると認められた。さらに、U-73122(PLCの阻害剤)、GF-19203X(PKCの阻害剤)、Wortmannin(PI3Kの阻害剤>、Myristorylated AIP(CaM KIIの阻害剤)或いはML-9(MLCKの阻害剤)によって影響されることから、NPYの血管内皮増殖促進シグナル伝達経路において主にPLC-PKC系とPI3K/Akt系を介する可能性が強く示唆された。NPY Y_2及びY_5受容体アゴニストは直接的血管内皮細胞増殖促進作用が見られなかったこと、BIIEO246(Y_2受容体アンタゴニスト)及びBIIEO246+CGP71683(Y_5受容体アンタゴニスト)の前投与はNPYの内皮細胞増殖促進作用をブロックしたことから、Y_2受容体と他のサブタイプ受容体と共に複合体としてY_3受容体のような作用を果す可能性が示唆された。
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