研究課題
今回我々は、細胞増殖におけるNPY及びY_3受容体の役割を検討した。20%の正常酸素状態では10^<-12>MのNPYが最大の細胞増殖促進効果を示したのに対し、10%の低酸素状態では、NPYの濃度が10^<-12>Mと10^<-8>Mの時に二相性の増殖促進作用が見られた。低酸素状態でY_3受容体以外のNPY受容体のアゴニストを単独投与しても細胞増殖促進作用を示さないことから、NPYがY_3受容体を介して細胞増殖を促進することが示唆された。NPYのY_3受容体はG_iタンパク質と共役し、主にPLC-PKC系とPI3K/Akt系を介して血管内皮増殖促進作用を示すと考えられた。NPYのY_5受容体アンタゴニストは、血管内皮細胞増殖促進作用に影響を与えないが、Y_2受容体アンタゴニス単独或いはY_2とY_5受容体アンタゴニストの混合物を投与した場合、NPYの内皮細胞増殖促進作用をブロックしたことから、Y_3受容体がY_2受容体とほかのNPY受容体の複合体であると考えられた。我々は、ラットの脳から新規体内物質naofen (GeneBank accession No. EF613262)をクローニングし、四塩化炭素による肝硬変ラットモデルにおいてnaofenが肝細胞の再生、増殖に関与していることを報告した。さらに、naofenがcasepase-3の活性化を介して、アポとシースを促進すること、及びTNFαにより誘導したアポトシースにおいて、naofenが重要な調節物質であることを見出した。現在、低酸素状態におけるNPYの細胞増殖作用とnaofenのアポトーシス誘導作用の関連、さらには、Y_3受容体との関連性について検討している。
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Eur J Pharmacol (印刷中)
Am J Physiol Heart Circ Physio1 293・2
ページ: H959-H967