本年度は、我々が研究対象としていたKlAAOO14遺伝子がleucine rich repeat containing 14というタンパク質として構造が決定された為、レーザーマイクロダイセクション法とcDNAマイクロアレイを用いて正常粘膜上皮、口腔扁平上皮癌におけるleucine rich repeatを含むsubfamilyの遺伝子発現量解析を行った。LRRCファミリーは数十種類のタンパク質が報告されており、転移との関連が知られているものも存在する。マイクロアレイに用いたサンプルは免疫染色においてKlAAOO14遺伝子転写産物陽性の凍結組織切片である。通法通り、レーザーマイクロダイセクション法を用いて、正常粘膜上皮、口腔扁平上皮癌の各細胞のみを回収し、RNAを抽出後マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現量解析を行った。その結果、KIAAOO14遺伝子(LRRC 14遺伝子)には大きな発現量の変化は認められなかったが、LRRCC1、LRRC8E、LRRC25において3倍以上の発現量の増加が認められた。LRRCI4遺伝子の発現量が何故増加していないのかに関しては未だ不明ではあるが、これらの6つのleucine rich repeatを含むタンパク質の機能に関して解明していく予定である。また、LRRCグループにはk-means解析を用いた発現パターン解析で共通したパターンを示しているものが多数あり、k-means解析で共通する遺伝子群の中にはMS 12などの幹細胞マーカーが含まれていた。今後は、癌幹細胞とKIAAOO14遺伝子の関係も含め、癌転移メ力ニズムの解明を行っていく計画である。
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