雄性ラットの顎顔面部侵害受容における三叉神経脊髄路核、末梢組織における5HT3受容体さらに5HT2A受容体の役割について、行動学的、電気生理学的、免疫組織化学的に検討を行った。その結果 (1)三叉神経脊髄路核尾側亜核の浅層から侵害受容ニューロンを単離し、続いて同部に存在する5HT3受容体を拮抗薬(tropisetron)によってブロックすると咬筋へのホルマリン刺激、または顔面皮膚への機械的侵害刺激によって引き起こされるneural actiyityは有意に低下した。これらの所見は正常ラット、顎関節炎症モデルラット共に見られた。またtropisetronを大槽内投与しておくと、咬筋にホルマリン刺激することで引き起こされる顎顔面部疼痛関連行動時間(grooming時間)は有意に短縮した。以上から三叉神経脊髄路核尾側亜核の5HT3受容体は顎顔面部の疼痛を促進する可能性があることが示された。 (2)三叉神経脊髄路核尾側亜核の浅層から侵害受容ニューロンを単離し、同部に存在する5HT2A受容体を作動薬(DOI)の局所投与によって活性化させると咬筋へのホルマリン刺激または顔面皮膚への機械的侵害刺激によって引き起こされるneural activityは有意に低下した。またDOIを脳室内投与しておき咬筋へのホルマリン刺激によって三叉神経脊髄路核尾側亜核の浅層に発現するFos陽性細胞数はvehicleの脳室内投与群と比較して有意に減少した。さらにDOIを大槽内投与しておくと、咬筋にホルマリン刺激することで引き起こされる顎顔面部疼痛関連行動は有意に短縮した。よって三叉神経脊髄路核尾側亜核の5HT2A受容体は顎顔面部の疼痛を抑制する可能性があることが示された。(投稿準備中)。 (3)また咬筋へのホルマリン刺激によって三叉神経脊髄路核尾側亜核に発現するFos陽性細胞数が末梢組織(咬筋)の5HT2Aまたは5HT3受容体をブロックすることでコントロール群と比較して減少することを見い出した(投稿準備中)。現在、メスラットを用い月経周期のDiestrousまたはProestrous期におけるVcでの侵害受容における5HT2A受容体の役割について以上の手法を用い検討を行っている。
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