【目的】摂食行動は視床下部にある摂食調節中枢によって制御されており、近年視床下部内にある摂食調節因子を発現するニコ.一ロン群が摂食調節に深く関与していることが報告されてきた。そこで口腔内固有感覚が入力する一次求心路の中継核で、咀ロ爵運動の調節に役立つとされている三叉神経中脳路核が摂食行動に関与するペプチドとして知られるオレキシンによってどのようにコントロールされるのかを明らかにするため、オレキシン投与による三叉神経中脳路核ニューロンの膜特性の変化についてパッチクランプ法を用いて解析した。 【結果】生後8〜12日齢のラットでは、orexin A 500nMを投与することにより三叉神経中脳路核ニューロンにおいて膜電位の上昇と入力抵抗の減少が認められた。また、orexin A投与により三叉神経中脳路核ニューロンのバースト発火のスパイク数が抑制された。そこで、Orexin receptor type1のantagonistのSB-334867を投与した状態でorexin Aを投与すると、スパイク数に変化はみられなかった。さらにcontrol時とorexin A投与時におけるpersistent sodium currentを比較したところ、orexin A投与によりpersistent sodium currentが減少した。以上の結果から、orexinによる三叉神経中脳路核ニューロンのバースト発射の抑制には、orexin A receptor1とpersistent sodium currentが関与していることが示唆され、オレキシンが末梢からの口腔感覚入力を制限している可能性が考えられた。
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