研究概要 |
骨芽細胞に存在するチャネルの種類とその役割について不明な点が多い.また,外的環境変化やストレスに対する細胞内シグナル伝達機構として,細胞内のタンパクリン酸化カスケードが明らかとなっているが,物理化学的ストレスの細胞内シグナルへの変換機構はいまだ不明である. はじめに,ヒト骨肉腫由来の市販細胞であるMG-63,HOS,SaOS-2細胞におけるK^+チャネルを検索し,大コンダクタンスCa^<2+>依存性K^+チャネル(BKチャネル)を構成するBKα1サブユニットmRNA発現が高いことをReal-Time PCR法にて確認した.これまでに,MG-63細胞にBKチャネルが存在することが報告されているため,それぞれの細胞におけるBKα1サブユニットのタンパク発現についてウエスタンブロット法を用いて検討し,MG-63細胞におけるBKチャネルタンパクが高発現することを確認した.次に,BKチャネルの電気生理学的特徴をパッチクランプ法にて検討し,単一チャネルパッチクランプ法のinside-out法において,カルシウム依存性と電位依存性を有し,コンダクタンスが大きいK^+チャネルが存在することを確認した.また,ホールセルクランプ法にて,BKチャネルの選択的開口薬であるNS1619と遮断薬の低濃度テトラアンモニウムクロライドを用い,BKチャネルが機能しうることを確認した.以上の結果より,ヒト骨芽細胞にメカノセンサーの候補であるBKチャネルが機能的存在する可能性を示した.
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