研究概要 |
新しい3次元形状計測装置(VIVID 910,コニカミノルタ社製)を用いて,従来行ってきた補綴学的空間の形状計測実験のプロトコールをもとに,現在,画像撮影条件の設定および計測精度の確認を行っている.実験用無歯顎模型の形状計測に関しては,顎堤部にアンダーカットの存在する場合を除いて,一方向からの撮像で距離の測定が可能である.しかし,多くの臨床例においては顎堤にアンダーカット部が存在するため,複数方向からレーザー光を入射することで,複数枚(2〜4方向)の画像を重ね合わせて,アンダーカット部の画像を構築することが可能となった.また,その際に自動位置合わせを行った場合の,重ね合わせ精度についても合わせて検討を加えている.その結果本計測装置は,実験用無歯顎模型の計測に十分な精度を有していることを確認することができた.今後の展開として,無歯顎被験者より得られた補綴学的空間の拡大様相をより詳細に検討を加えていく予定である.具体的には,規定量の印象材料を口腔内に注入し,被験者に発音を指示することで,印象材料に対し口腔周囲諸筋より筋圧が加わり,形態が作り上げられる.これを実験用無歯顎模型上に戻して計測し,頬舌的な形状を記録する.この操作を4回繰り返し,最終的に得られた補綴学的空間の形状を計測し,発音により,どのような部位に選択的に圧力が加えられていくかを検討していく.また,特定の発音では特に,強い筋圧が加わる傾向があるかどうかについても,形状計測を通して解明していく予定である.
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