研究概要 |
補綴装置が装着されているう蝕のハイリスクな患者に,定期的にプロフェッショナルケアを行い,う蝕に関する口腔内環境因子と歯質に付着するプラークpH値を経時的に比較検討する. 本年度は,本学附属病院に通院し,クラウンによる修復処置を行う成人患者8名を選択した. 彼らには本研究に協力してもらうにあたり,十分なインフォームドコンセントを行い納得した上で,大阪歯科大学医の倫理委員会の承認を得た同意書に署名してもらった. 被検者は,上顎中切歯にレジン前装鋳造冠または下顎第一大臼歯に金銀パラジウム合金による全部鋳造冠を装着した患者である. なお,彼らは事前にOrion社製デントカルトシリーズを用い唾液検査を行った.刺激唾液量,緩衝能,齲蝕原性細菌数mutans streptococciおよびLactobacilliを測定し,モデルチャートを用いて判定した結果,う蝕のリスクレベルが,ハイリスクと診断された患者である. ハイリスクと診断された患者をランダムにプロフェッショナルケアを行う処置群と観察群に4名ずつ分けた.処置群には,クラウン装着後1ヵ月毎に1年間,唾液検査によるカリエスリスクの判定と装着したクラウン辺縁部のプラークpH値を測定し続けている.同時に術後管理としてプロフェッショナルケア(PMTC)を行っている.観察群には,クラウン装着後2ヵ月毎に1年間,唾液検査によるカリエスリスクの判定と装着したクラウン辺縁部のプラークpH値の測定のみを行っている. 現時点では約半年を経過した症例が半数である.カリエスリスクレベルは全ての症例でハイリスクのままである.クラウン辺縁のプラークpH値も値は一定であり,差は認められない.今後引き続いて実験を行う.
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