本研究ではラット虚血皮弁モデルに酸性ゼラチンバイドロゲルマイクロスフィアー(AGHMs)を使った新しい血管新生療法を利用し、皮弁生着向上に対する効果を検討した。 方法 200-250gオスSDラットの右側背部に、深腸骨回旋動脈を血管茎とするaxial型の皮弁を挙上した。その後実験群を8つに分類し、皮弁頭側recipient bedの筋膜下1mmに(1)PBS(PBS群)、(2)bFGF15μg in PBS(FGF15群)、(3)bFGF50μg in PBS(FGF50群)、(4)bFGF150μg in PBS(FGF150群)、(5)PBS含有AGHMs in PBS(PBS-AGHMs群)、(6)bFGF15μg含有AGHMs in PBS(FGF15-AGHMs群)、(7)bFGF50μg含有AGHMs in PBS(FGF50-AGHMs群)、(8)bFGF150μg含有AGHMs in PBS(FGF150-AGHMs群)のいずれかの溶液(300μl)を筋注後、皮弁を元の位置に縫合した。皮弁作製後7日目に、皮弁壊死率および血管量を測定し皮弁生着に関する評価を行った(n=8)。 結果 皮弁壊死率に関しては、FGF150-AGHMs群(9.6%)とFGF50-AGHMs群(14.9%)では、PBS-AGHMs群(21.2%)に比較し有意に減少していた。AGHMsを使用しなかった群では、有意に皮弁壊死率が減少した群はなかった。また、FGF150-AGHMs群では、FGF150群(17.4%)よりも有意に皮弁壊死率が減少していた。 血管造影に関しては、FGF150-AGHMs群がPBS-AGHMs群に比較し有意に血管量の増加を示した。AGHMsを使用しなかった群では、有意に血管量が増加した群はなかった。またFGF150-AGHMs群は、FGF150群よりも有意に血管量が増加していた。
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