口腔扁平苔癬の解析に際して、その疾患の分類を再検討するために病理組織学的診断と臨床診断の相関関係について解析を行った。臨床的口腔扁平苔癬は、病理との一致率は50%と非常に低かった。口腔扁平苔癬以外の病理診断を得た症例は4例(7%)となり、その内訳は、過角化症2例、白板症1例、潰瘍1例であった。口腔扁平苔癬の疑いとされた群では、びらん・潰瘍の出現率が高い傾向を認めたことからびらん潰瘍形成が病理学的診断に大きく関与していることが示された。 口腔扁平苔癬に混在する口腔扁平苔癬様変化は、病理組織学的検討から判断するのは困難であることが示された。臨床所見では、典型的病態を示す群と非典型的群とに2分される傾向が示された。この結果を踏まえて、口腔扁平苔癬の解析は、びらん潰瘍を形成している群と萎縮白斑型に分類し解析を行うことがふさわしいと考えられた。また、扁平苔癬様変化を除外するために配慮する必要があると思われる。免疫組織学的解析を行うための検体は、現在口腔扁平苔癬20検体、シェーグレン症候群18検体を得ている。引き続き、検体の収集を行い解析を行う。検討項目としては、病態に関与するT細胞のphenotypeおよび抗原提示細胞のphenotypeを解析している。検体数を更に増やし統計学的に検討を行う予定である。 論文として、臨床診断と病理診断の相関について細かく解析した論文を執筆中である。
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