TGF-βやBMPは、共に骨基質中に多く含まれるサイトカインであるが、これまでの研究で、MC3T3-E1細胞において、この両者は、MAPキナーゼの活性化を介して、VEGFを産生していることが明らかになっている。一方、これらのサイトカインは、MAPキナーゼを介する経路以外にPhosphatidylinositol3(PI3)キナーゼを介する経路やSmadを介する経路など様々な情報伝達経路が認められており、VEGFの産生に関与していると考えられる。 そこで今回、ヒト正常骨芽細胞を用いて、BMPによるVEGF誘導におけるMAPキナーゼを中心とした情報伝達経路の関与の有無や、他の情報伝達経路間の相互作用(クロストーク)を明らかにすることを目的として研究を行なっている。 その結果、ヒト正常骨芽細胞(NHOst)やヒト骨芽細胞様細胞(Saso-2)において、BMP-4が0〜100ng/mlの濃度において用量依存性に、また0〜48時間のtime courseにおいて時間依存性にVEGFを誘導していることを確認した。 さらにヒト歯髄由来のDPSCs(Dental Pulp Stem cells)より分化誘導した骨芽細胞/象牙芽細胞様細胞を用いてVEGF誘導を解析した結果、分化誘導時より多量のVEGFを産生していることが確認された。 現在、これらの細胞において、VEGF誘導における細胞内情報伝達経路についてSmad抗体を導入した細胞を用いて情報伝達経路における相互作用をELISA、western blottingにて、また、VEGFmRNAの発現についてPCR法にて解析中である。
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