本研究の目的は、骨膜延長法での骨再生および高膨張性ゲルを生体内で膨張させることにより骨延長装置による機械的刺激から分子的刺激への変化に伴う骨再生への影響について検討することである。 本年度は、本課題で開発したφ2.7mmスクリュ-と0.1mm厚のチタン製マイクロメッシュを組み合わせた骨膜延長装置を用いて、骨膜延長法による骨再生を引き続き行い、骨形成が統計学的に有意差をもって有効であることを証明するために評価した。その結果、待機期間7日間、延長速度0.5mm/dayで10日間の骨膜延長後、8週間で評価した所、延長した骨膜下には皮質骨穿孔群では、非穿孔群と比較して骨形成面積が大きく有意差も認められた。この骨膜延長法と組み合わせてハイドロゲルを注入する予備実験を継続したが、ゲル周囲への骨形成を認めるもののゲル自体の吸収が多いため、組織の膨張を維持することが困難で全体として骨形成を大きく促進させるまでには至らなかった。 そのため、この方法に適した高膨張性ポリマーゲルを探索するために、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、水酸化カルシウム、リン酸一水素カルシウムなどを中心に各材料を組み合わせて各種ハイドロゲルを作製して検討を続けたが、本年度内に、良好な物性をもつゲルを生成できなかったが、今後も材料や方法の検討を継続していきたいと考えている。なお、本年度の結果は、2007年10月に開催された第1回日米韓口腔顎顔面外科学会合同学術大会で発表した。
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