(はじめに)口腔ジストニア、口腔ジスキネジアなど顎不随意運動は歯科との関連が深い。安定しない顎位のために歯科治療を困難にさせる。そればかりか著しく咀嚼嚥下機能を損なうほか不随意な運動による二次的な筋痛、精神的なストレスなど患者の受ける苦痛は計り知れない。本研究ではこの口腔ジストニア、口腔ジスキネジア患者の感覚野、運動野の評価を行い、知覚入力-運動出力の脳内ネットワークを解析し、病態評価をはかるのが目的である。(対象と方法)健常成人ボランティア6名と知覚トリック現症の伴う口腔ジストニア患者(opening type dystonia)3名とが対象。被験者に対して以下のタスクを用いてf-MRIにて脳活動を評価した。(タスク内容)1.通常の下顎閉開口運動(1回/秒)。2.おとがい部を軽く押さえての下顎閉開口運動(1回/秒)。これらの顎運動を30秒間行い、3セット交互に繰り返した。この間f-MRIにて脳活動を評価した。また口腔ジストニア患者に対しては、薬物療法とMuscle Afferent Block療法(MAB療法)を行い、治療前後でも評価した。(結果)健常成人と患者とではf-MRIにおいて脳活性部位、特に運動野に相違が認められた。(考察)口腔ジストニアの病態解析にf-MRIによる脳マッピングは有用な手段であると考えられる。更なる詳細な結果については現在解析中である。また、より精度の高い評価を行うために、タスク内容や撮像条件の検討も必要と思われる。
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