歯槽骨欠損モデルとしてビーグル犬下顎臼歯部複根歯に実験的2級根分岐部病変と頬側歯槽骨を剥離したモデルに、骨髄より採取・培養増殖させた間葉系幹細胞(MSC)をコラーゲンスポンジに播種し欠損部に移植後、フラップした歯肉粘膜を復位・縫合した。移植後、定期的に抗生剤の投与を行ったが、移植部の感染が認められた個体が多く存在し、コラーゲンスポンジの脱落や同部位の歯肉退縮が生じ、実験群およびコントロール群(欠損部にMSCおよびコラーゲンスポンジの移植なし)の個体数が不十分となった。感染をおこさなかった実験群(n=1)とコントロール群(n=2)において、骨欠損モデル作成直後、MSCおよびコラーゲンスポンジ移植後、移植後2Wおよび4WにデンタルX線写真を撮影した。移植後2Wおよび4Wの時点で新生骨ができている様子が認められたが、コントロール群と実験群とのあいだにレントゲン上での差異は、確認できなかった。また、移植後6W後に、屠殺、還流固定を行い、実験部位の組織を採取し脱灰、パラフィン包埋後、薄切標本を作成し、組織学的に歯周組織再生を評価した。個体数が少ないために定量的な評価は行えなかったが、実験群では、コントロール群に対して、歯周組織の再生がわずかながら多いように思われた。しかしながら、定量的な評価をするためには、個体数を増やす必要があるため、今後さらなる実験および検討が必要であると考えられた。
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