研究概要 |
マウスCTGFプロモーターをクローニングするために、鋳型としてマウス骨髄細胞より調製されたゲノムDNAライブラリーを作製した。Abrahamら(J.Boil.Chem.,2000)により発表されたマウスCTGFプロモーター領域にはTGF-β・TNF-αといった、骨芽細胞の分化に影響を及ぼすサイトカインに応答する領域が存在することが報告されている。従って、我々は、この報告と同じプロモーター領域(-805から+17)をクローニングするためにプライマーを設計し、PCRにてクローニングを行った。PCRにより得られたCTGFプロモーター断片は、TAクローニングベクターへ組み込まれ、DNAシークエンサーにて塩基配列の確認を行った後に、改めてpGL3 Basic Vectorへ組み込まれた(pmCTGF-pGL3)。得られたpmCTGF-pGL3はマウス骨芽細胞様細胞株であるMC3T3細胞に、ネオマイシン耐性遺伝子発現ベクターと共にLipofectAMINE法にて遺伝子導入を行い、選択薬剤と共に4週間培養し、ネオマイシン耐性遺伝子陽性細胞株を樹立した。現在、これらの細胞をさらに限界希釈法にて単一細胞コロニーを分離し、pmCTGF-pGL3の組み込まれた細胞株を選択しているところである。 細胞の機械的刺激応答は、歯科領域においては、骨芽細胞だけではなく、歯根膜細胞においても解明する必要がある。しかし、歯根膜細胞は細胞集団が均一ではなく、細胞株も存在しないために、研究が進んでいないのが現状である。従って、我々は、歯根膜細胞における機械的刺激によるCTGF転写調節メカニズムについても研究を進めるために、歯根膜細胞のクローニングも行っている。現在、歯根膜の未分化細胞の単一細胞コロニーを分離・増殖させて、発現遺伝子をスクリーニングすることにより、それぞれの細胞株の性質を調べているところである。
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