研究課題
矯正臨床において、成長期に顎骨の不調和を有する患者に対しては顎整形力や機能的矯正力などの機械的刺激を顎骨に作用させ、成長のコントロールがしばしばなされる。しかしながら、機械的刺激による下顎骨の成長制御メカニズムについては不明な事が多い。本研究では、下顎骨の長軸方向への骨形成様式である内軟骨性骨形成過程における機械的刺激の影響についてin vitroで検討するため、成長板軟骨細胞の増殖、分化の各分化ステージにおいて、Flexercell unitを用い機械的刺激の種類や頻度を変えて負荷し影響の検討を行った。さらに、細胞の宿主年齢の違いによる効果の差違についても検討を行う。(1)周期的な機械的伸張力は増殖期にある成長板軟骨細胞のDNA合成を促進し、基質産生期にあるコラーゲン合成、プロテオグリカン合成を促進した。その効果は、刺激頻度の増大とともに顕著であった。(2)周期的な動的な機械的圧縮力は増殖期にある成長板軟骨細胞のDNA合成を促進し、基質産生期にあるコラーゲン合成、プロテオグリカン合成を促進した。一方で、一定圧の静的な機械的圧縮力は増殖期にあるDNA合成を抑制し、基質産生期にあるコラーゲン合成、プロテオグリカン合成を抑制した。以上より、成長板軟骨細胞における増殖、分化に対する機械的刺激は、刺激の種類や頻度により選択的に影響を受けることが明らかとなった。内軟骨性骨形成を主体とする下顎骨の成長は、機械的刺激の種類や頻度により異なった反応を示し、各分化段階を選択的に制御しうる可能性が示唆された。
すべて 2005
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