研究概要 |
小児の成長による発音の変化を視覚的かつ定量的に評価することを目的として,発語明瞭度検査・持続母音およびVCV音節語後続母音のフォルマント周波数分析および時間要素分析からみた小児構音発達の特徴について検討を行った。 被検児の咬合状態,う蝕罹患状態,歯の欠損,歯冠修復状態,歯列不正,口蓋形態,舌小帯の付着位置,舌の随意運動の状態については口腔内で検査を行い,摂食機能,嚥下機能,言語発達,精神心理学的発達,発音への不満度,聴覚等の既往歴については保護者に面談とアンケートで尋ねた。その結果,36名(各年齢男児3名,女児3名)の小児が選択された.音声の検査項目として持続母音とVCV音節語について行った。持続母音では5母音を各々2〜3秒間続けて発声させ周波数分析を,またVCV音節語として母音+子音+母音の構造をもつ無意味音節構音22語を発声させ発語明瞭度検査,周波数分析,時間要素分析を行った。 結果として,3歳児から8歳児において持続母音のFO,F1値は増齢により低下することが明らかになった。またVCV音節語後続母音の内,年齢とF1,F2値との間に相関がみられた音節語と,年齢にほとんど影響されない音節語が存在することが明らかとなった。また今回の構音の検査方法や結果は,小児の構音発達や構音障害の診察に有用であることが示唆された。
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