まず単球、単球由来樹状細胞(monocyte-derived dendritic cell : MoDC)におけるニコチン受容体のサブユニットの遺伝子発現をRT-PCR法にて確認した。そしてニコチン受容体の中で免疫系細胞で重要な役割を果たしていることが近年報告されているα7受容体は、単球、MoDC共に発現していることが明らかとなった。単球はニコチン単独刺激時、ニコチンとLPSの共刺激時ともにニコチン濃度依存的にIL-8産生を亢進した。MoDCではニコチン存在下ではLPS刺激によって、IL-8の産生に有意な差は認められなかったがIL-10、IL-12の産生はニコチン濃度依存的に抑制された。このことより、免疫細胞のサイトカイン産生に及ぼすニコチンの影響は、単球では産生増強、MoDCでは産生を抑制的に作用する可能性が示唆された。これらニコチンの作用はα7受容体のアンタゴニストであるα-ブンガロトキシン、非選択的ニコチン受容体アンタゴニストであるd-ツボクラリン存在下で抑制された。d-ツボクラリンはα-ブンガロトキシンよりもサイトカイン産生抑制効果が大きいことからニコチンは単球、MoDC上のα7受容体以外の受容体も介していることが考えられた。 次に単球、MoDCの抗原取り込み能に対するニコチンの影響をFITC-dextranを用いてFACSにて検討した。その結果ニコチンの濃度に関係なく単球、MoDCの抗原取り込み能に影響を与えないことが示された。
|