研究課題
本研究計画は、歯周組織および歯周病病態に対する高コレステロール・酸化LDLの関わりの検討を目的とするものである。in vitro細胞培養解析系において検討する変性脂質の調整方法について、用事調整の必要があり、金属イオンを触媒とする酸化変性の手法の安定化を図り、安定した手法を確立した。AP-1-またはNF-kB-Luciferaseのレポーター遺伝子を導入した口腔粘膜由来上皮細胞株を作製し、炎症反応の定量的な測定系を確立した。また、培養細胞上清中の炎症性サイトカイン6種のタンパク量を直接的に、迅速に多数サンプルにおいて測定するために、フローサイトメトリーを用いた測定計の確立を行った。歯周病と変性脂質との関わりにおいて、歯肉溝滲出液中での変性脂質・酸化LDLの存在の証明が本質的な前提である。健常者および生活習慣病を有する歯周病患者からの生体サンプルとしてヒト歯肉溝滲出液を採取し(昭和大学歯学部医の倫理委員会承認済)、その過程において脂質、賛成脂質が不安定化することなく測定できるような、採取方法、輸送方法、保存方法の確立を行った。サンプル中の、タンパク質の定量法の確立、脂質含有量の測定方法の確立を行った。歯肉溝滲出液中にLDLが存在し、一部変性が生じ、酸化LDLが存在することが、特異的抗体を用いた免疫的発色法を用いて明らかとなった。また、ELISA法及びウエスタンブロット法を用い、サンプル中の、酸化LDL/LDLの比率を測定した。歯周状態を把握する一つの検査値として歯周ポケット深さが頻用されているが、酸化LDL/LDLの比率はポケットの深さがますと増加する傾向が認められた。しかし、サンプル数の不足やサンプル採取料が極めて少ないこと、日内変動などの影響により、統計学的に有意な相関を見いだすことはできなかった。さらなる検討が必要であると考え、サンプル採取の条件、被験者選定条件等を見直しつつ資料収集を進めるとともに、測定及び解析を継続している。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
J Dent Res 85(6)
ページ: 520-523
Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 102
ページ: 596-601