申請者は昨年までの報告で目的タンパク質であるActinobacillus Actinomycetemcomitans由来DnaKの遺伝子を大腸菌コンピテントセルに導入したところまで報告した。 1.その後、IPTGによる目的タンパク質の発現を確認するために何度かSDS-PAGEを行ったが、目的とする70kDa付近にタンパク質の発現を認めなかった。 2.そのため、当初の計画にはなかったが導入した遺伝子が正しいものであるかを確認するためインサートプライマーを設計し、シークエンスにて塩基配列を確認した。結果、全配列を確認したわけではないが、開始コドンより1Kbase程度にわたり、目的の遺伝子の塩基配列は正しく組み込まれていることを確認した。 3.その後、同施設の研究者の方々に相談し、IPTGによる目的タンパク質の誘導の段階において、なにかしらのエラーがあると考え、タンパク質発現の条件を変える(具体的には、試薬をもう一度チェックした後、タイムコース、IPTGの濃度変更)など何度か試してみたののタンパク質の発現がうまく認められなかった。ウエスタンブロットにより目的タンパク質の確認はできたが、タンパク質の精製の目的のためには発現量が少ないと考えた。 以上より、シークエンスの結果から導入した遺伝子は目的タンパク質のものであることは確認したため、タンパク質合成の段階で、発現の誘導がうまく行えていないと考え同施設の研究者の方々に相談し、実験中である。具体的にはタンパク質回収の効率をあげることや発現ベクターをもう一度考え直すことなどを計画し、タンパク質精製が可能な程度の発現を目的に実験を継続している。
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