本年度の計画は、モノクローナル抗体(mAb)の作製、つまり1)免疫原(FnBP)の調整、2)抗体の調整を行うことである。 1)免疫原(FnBP)の調整に関してはG.adiacensの超音波処理上清からFn結合性物質(FnBP)を粗精製し、これを免疫原に用いるために、Fnを固相化したアフィニティーカラムに、G.adiacensの超音波処理上清を添加し、結合した物質をpH8.5のバッファーで解離させ回収した。この粗精製FnBP画分の純度をSDS-PAGEで分析し、Fn結合活性はビオチン化G.adiacens菌体のFnへの結合を阻害する活性で確認した。この粗精製FnBP画分はG.adiacens菌体のFnへの結合を阻害した。この画分をSDS-PAGEで分析し銀染色による検出を試みた。検出反応はわずかであるため、この方法では目的とする粗精製FnBP画分の同定には至らなかった。同定に必要な容量を得るために、Fnをビーズにカップリングさせて、G.adiacensの超音波処理上清と反応させるbatch法にて同様にFnBPを回収し、SDS-PAGEにて分析を行った。その結果、複数の細かいバンドを含む4つの主なバンドが得られた。このうち高分子の2つのバンドはアフィニティーカラムで得られたメインバンドと一致した。この物質をイオン交換クロマトグラフィーに添加して、SDS-PAGEで展開後、目的とするバンドをウエスタンブロットにてPVDF膜に転写し、アミノ酸シークエンスを行った。しかし、それらは、N末端が修飾されており解析に至らなかった。そこで、G.adiacensの超音波処理上清を界面活性剤の有無や濃度を検討しながら、ゲルろ過クロマトグラフィーに添加し、同様の反応を解析した。その結果メインバンド数本程度までの精製には至らなかった。現在、G.adiacensの超音波処理上清を精製すべくさらに、疎水クロマトグラフィー等行っているところであり、2)抗体の調整は、現在進行中の結果を基に、検討していく。
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