[fMRIによる研究] 嚥下運動に関連した視覚聴覚刺激を提示した時の脳野の賦活を検討した。本実験では、嚥下運動に関連した聴覚のみ、視覚のみ、及び視覚聴覚双方の3種のヒト嚥下関連の映像を非侵襲的に提示し、その時の被験者の脳賦活領域をfMRIを用いて計測、解析した。その結果、聴覚単独刺激提示時には補足運動野の活動が認められ、視覚単独刺激提示時には左右半球の運動前野と一次体性運動野および左半球の前運動野の活動が認められた。視覚聴覚複合刺激提示時には左右半球の前運動野と運動前野の活動が認められた。これにより嚥下運動に関連した聴覚刺激、視覚刺激、及び視聴覚刺激によっても嚥下運動のプログラムから実行に関与するといわれる脳領域が賦活することが証明された。この研究成果は学会発表し、現在論文投稿中である [脳磁図による研究] 東京歯科大学・口腔科学センターの脳磁図を用いて健常者に嚥下運動に関連した視覚・聴覚刺激を行なったときの脳皮質活動を調査した。その結果、ブローカ野などの活動が推定されるものの、その推定精度が十分でないことが分かった。そこで単純な視覚・聴覚刺激を健常者に提示したときの脳皮質活動を計測し、活動部位の推定方法の改良を行なった。これについては学会および論文発表を行った。現在は嚥下運動に関連した視覚・聴覚刺激を提示したときの脳磁場計測を行なっている。 [介護老人保健施設における介入研究] 回復期病院(入院患者700名)の入院患者40名の摂食・嚥下機能の評価を行っている。その家族に対し、本研究に関してインフォームドコンセントを行うとともに、それらの施設スタッフに対しても同様に本研究に関するインフォームドコンセントを行なっている。
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