研究概要 |
【研究の成果】 19年度の研究課題は,閉じこもり予防の観点から,温泉の利用頻度と社会との関わり・健康関連QOLとの関連を明らかにすることであった。65歳以上の温泉施設利用者277名を対象に,属性,社会関連性指標「ISI」,健康関連QOL「SF-8」などの質問紙調査を行なった。 1.対象者の特性 平均年齢は77.8±6.9歳であった。温泉を健康のために利用している人は87.4%,温泉が社会的な交流の場になっていると感じる人は83.5%であった。 2.社会との関わり状況との関連 ISIの合計得点,下位領域得点を温泉利用頻度[多い群][少ない群],外出頻度[多い群][少ない群]で比較した。利用頻度による有意差はなかった。外出頻度では,合計得点が[多い群]で有意に高かった(p<0.01)。下位領域得点は,「社会への関心」(p<0.01),「他者との関わり」(p<0.05)で[多い群]が有意に高かった。*いずれも対応のないt検定 3.健康関連QOLとの関連 SF-8の得点を温泉利用頻度[多い群][少ない群],外出頻度[多い群][少ない群]で比較した。「身体的QOL」「精神的QOL」の得点は,利用頻度と外出頻度による有意差はなかった。下位領域得点は,利用頻度[多い群]で「身体機能」「日常役割機能(精神)」が有意に高かった(p<0.01)。*対応のないt検定 以上の結果より,多くの温泉施設利用者が,温泉施設は他者との交流の場になっていると感じていた。また利用頻度の多い人は,身体面の満足度が高かった。温泉の利用は健康増進につながり,社会との交流が活性化し,身体面と心理・社会面によい効果をもたらすと考える。
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