本研究は、助産師が提供するケアに対する価格を導くことにより施設にどのような収入がもたらされ、その収入から適切な人員配置を試案することを目指している。17年度は、正常褥婦に提供されているケアの実際と、褥婦の提供されたケアに対する満足度を明らかにすることを目的として調査を行った。 褥婦に提供されているケアについては、分娩後2時間から退院までに提供されている「直接ケア」の他記式タイムサンプリングを実施した。また、直接ケア時間は病棟の忙しさに影響を受けると考え、各勤務帯のリーダーに主観的な忙しさ程度について確認した。また、褥婦の提供されたケアに対する満足度について退院当日にインタビューを行った。 その結果、産褥入院中(5日間)に提供されている直接ケア時間は、平均時間9時間26分であった。また直接ケア時間に影響を及ぼす要因として共同研究者として参加した「母乳育児を確立するためのアクションリーサーチ」の結果と同様に緊急入院、分娩が考えられた。 一方、褥婦は産褥期に提供されたケアにおおむね満足していた。しかし、初産婦と経産婦では満足しているケアに違いがあった。少数ではあるが「不必要なケア」として認識されたケアもあった。 以上の結果から、コアとなるケアとオプショナルとして選択可能なケアを明らかにし、価格を算出することの必要が明らかになった。また、その際に、実際にケアに要する時間との関係も考慮する基礎データを得ることができた。 来年度は、仮想評価法(CVM)を用い、コアにとなるケアとオプショナルとして選択可能なケアを提示し、実際に褥婦に調査を行い、その価格について算出していきたい。その結果、産褥期の収入を明らかにしていきたい。
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