研究目的: 本研究の目的は、化学療法をうけるがん患者の主観的評価を重視した味覚障害評価スケール(化学療法が味覚機能と日常生活に与えるインパクト評価スケール)の開発である。 平成18年度研究計画: 外来化学療法施行中のがん患者を対象に実施した面接調査結果から抽出した自覚症状や味覚障害に伴う不利益の分析、先行研究や既存のQOL尺度のレビュー、臨床看護師の助言、味覚障害研究者からの専門知識の提供をうけ、質問項目のwording作業を行い、暫定版質問紙を完成する。 研究方法: 国際がん看護会議にて、外来化学療法施行中のがん患者を対象に実施した面接調査の結果を報告し、米国の臨床看護師から意見の聴取を行った。さらに、先行研究や既存のQOL尺度のレビュー、臨床看護師の助言、味覚障害研究者による専門知識の提供などから、化学療法が味覚機能と日常生活に与えるインパクトの概念モデルを作成した。面接調査から導き出された質問項目を概念枠組みに沿って整理し、さらに各概念に含まれるべき患者の問題が網羅されるよう、先行研究や既存のQOL尺度を参考に質問項目を追加した。 結果 概念モデルは、「味覚変化」、「口腔機能」、「食欲低下・嘔気・ニオイへの不快感」、「身体的問題」、「精神的問題」、「社会的問題」、「対処能力」、「サポート体制」の8概念により構成された。モデルに沿って質問項目のwording作業を行い、8次元、76項目からなる5段階評価スケールの暫定版を作成した。 次年度の研究計画: 18年度に完成した暫定版質問紙について、外来化学療法中のがん患者、200名を対象に信頼性と妥当性の検討を行う。
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