本研究の最終目的は、心臓血管外科領域における術後せん妄発症に関わる発症要因と徴候の関係を明らかにすること、および術後せん妄発症の予測に関わる因子を探索することである。また、その得られた結果を術後患者の看護に有効利用するための示唆を得ることである。 本年度は、術後せん妄の発症要因や発症プロセスに関する概念図の作成に向けての調査と、概念枠組み(案)の作成を行った。 まず、術後せん妄に関する最近の国内外の書籍、文献などから、現在、術後せん妄発症のリスクとして注目されている要因について調査を行い、せん妄に関する研究を行っている専門家との情報交換や内容検討を行った。また、研究者がまとめた修士論文(2004年)の結果を再度分析・検討し、術後せん妄発症に関わる要因を抽出した。さらに、修士論文結果である術後せん妄発症要因と徴候との関係から、発症の引き金となっている可能性のある要因についても抽出を行った。この結果の一部は学会で発表した。 次に、これらの文献や専門家の意見と研究者の今までの経験と修士論文の結果を元に、術後せん妄発症のプロセスに関する概念枠組み(案)を作成し、その成果について誌上発表した。 現在は、上記の結果を元に、来年度よりデータ収集に使用する術後せん妄の発症要因に関するチェックリストの原案を作成中である。今後、臨床の看護師が観察している術後せん妄の発症要因と徴候について、質問紙調査から得られたデータを追加していく予定である。
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