本研究の目的は、女性外来における看護職の役割と他職種・他機関との連携について、現状の把握と分析を行い、今後の課題を明確にすることである。これまで、女性外来5施設において、医師5名と看護職8名を対象に半構成的なインタビュー調査を行った。これらから、看護職は自律的にその専門性を発揮する必要があり、そのためには自身の役割を明確に認識し意識化すること、また他職種との連携には、それぞれの職種が互いの役割・機能を理解し、他職種・他機関との連携の必要性をよく認識する必要性が認められた。 今年度は、インタビュー調査で得られた結果をもとに質問紙の調査項目を作成し、全国の女性外来における看護職を対象として郵送による質問紙調査を実施した。とくに、女性外来における看護職が自律的にその専門性を十分に発揮するための要因を明らかにする目的で、菊池・原田の「看護婦の自律性尺度」を用い、看護職の役割の実際と自律性との関連を調査した。 質問紙の内容は、対象の属性、女性外来の属性、看護職の役割の実際(看護業務、院内における他職種との連携、他職種・他機関との連携、主体的な取り組み・工夫)、今後看護職が担うことができる役割、取組みを遂行する上で障害と感じること、「看護婦の自律性尺度」、女性外来に携わるやりがい、看護職の機能発揮のため必要と考えること、等から構成した。調査施設は、先行研究・文献、インターネット、さらに「これからのウイメンズヘルス研究会」の協力を得て、平成19年2月時点で把握し得た全国の女性外来計360施設とした。質問紙票は、総合病院には各3通、クリニックには各2通とし、合計971通を送付した。送付にあたり専用の返信用紙にて、「現在女性外来を開設していない(または看護職を配置していない)施設」にはその連絡を依頼し、41施設を把握した。これらの施設へ送付した質問紙109通を差し引くと、実質送付数は319施設で862通となり、質問紙回収数は129通であった。 現在、回答を集計し、分析を進めているところであるが、調査の過程で、女性外来に看護職を配置していない施設が複数見受けられ、女性外来における看護職の必要性が明確に認識されていない実態が明らかになった。女性外来に携わる看護職および他の専門職が看護職の役割と他職種との連携の必要性を理解し、今後の課題を考える一助になるよう、引き続き分析を進めていく。
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