平成17年度は、3年間の研究計画の初年度として、研究を実施するための体制作り、研究デザインの再検討、調査票の作成、個人情報保護施行後の研究倫理的問題への対応を調査対象者向け説明書等に反映させることと平行して、研究協力移植施設の検討・打診を行った。 研究目的である生体肝移植ドナーや候補者、家族の健康状態の推移や生体肝移植における経験の把握のため、今年度より調査を始める予定であったが、年度途中にQOL測定におけるレスポンスシフト現象を共分散構造モデルにて解析する手法が新たに発表されたため、再度、研究デザインや測定・分析方法の再検討を行ったこと、また4月より個人情報保護法が施行され、当初想定よりも協力をいただく医療機関においてもより慎重な対応が必要となっている状況等を受け、これらの対応を再検討した。 これらを踏まえた調査票や対象者向け説明書を再度作成し、次年度早々には学部内の研究倫理安全審査委員会での審査承認を経ると共に、各協力施設にも実施へのご協力をお願いしているところである。 また最終年度に予定している面接調査の分析の質の向上のため、国内の看護研究においてはまだ活用されていない質的分析用コンピューターソフト(CAQDAS)を用いた方法についての検討を進め、文献検討と共に、他の研究者からの助言を得て、本研究におけるデータ分析における活用の可能性や限界について一定の理解を得た。 以上をまとめると、今年度の研究活動により、まだ具体的な研究成果が挙げられているとはいえないが、平成18年度・平成19年度の調査の実施等、研究運営の基盤が整備された。
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