円背をもつ骨粗鬆症患者の睡眠実態調査と睡眠障害への関連因子を明確にすることを目的とし、骨粗鬆症患者の睡眠実態調査から、円背の有無・活動時の腰背部痛の程度・ADL不自由項目の有無・活動量の程度と睡眠との関連性について検討した。調査対象者は京都市内の3ヶ所の病院および診療所において、原発性骨粗鬆症と診断された女性146名である。2005年6月〜9月に整形外科外来において、研究に同意の得られた被験者に対し、骨粗鬆症患者QOL評価質問表、ピッツバーグ睡眠調査票を用いてアンケート調査をおこなった。その結果、円背と睡眠の関係では、円背の有無によるPSQI得点の有意差は認められなかった。また、睡眠時の姿勢や寝具に対する満足感では、円背の有無による差は認められなかった。しかし、骨粗雑症患者の睡眠障害有症率は、全国大規模調査による女性の有症率に比べ高く、年齢別ではいずれの年齢群においてもPSQIのカテゴリーのうち"睡眠障害"が最も得点が高く、全国大規模調査の年齢別得点に比べても高かった。疼痛の程度、活動量(適度な運動)の程度と睡眠の関係では、有意差は見られなかったものの疼痛の増強および活動量の低下により睡眠に影響を及ぼす傾向がみられた。またADLに不自由項目を有することで、睡眠に与える影響が大きいことが明確になった。この結果をふまえ平成18年度においては、客観的指標として測定された活動量とADLとの関係、以前の運動習慣、背筋力・下肢筋力が現在の活動量やADLに与える影響についてさらに検討したうえで、円背をもつ骨粗鬆症患者における睡眠障害との関連性を明確にしたいと考える。
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