本研究は、治療経過に伴う味覚変化の内容、口内反応に伴う疼痛・唾液分泌量低下、個人属性(年齢、義歯装着の有無、喫煙の有無)、嗜好性と、放射線治療中・後における患者の食思傾向を低下させないあるいはこれを高める食物特性(味付け、食形態、テクスチャー、温度、匂い、色、サイズ)および日内変動といった項目間の関連性を縦断的に調査するため、質問紙調査を実施した(これらを構造力程モデリング)[SEM : Structural Equation Modeling]を用いて検討している)。 第一段階として、食思傾向に影響を与える食物特性に関する他記述5段階評定法質問紙(食物形態、テクチャー、味付け、温度、匂い、色、サイズ、嗜好性、日内変動に関する69項目)を作成した。この質問紙の項目ついては、栄養学を専門とする有識者、管理栄養士間で内容妥当性について検証した。また予備調査として口腔がん患者5名を対象として表面妥当性の検証を行い、文書表現や質問紙の形式の修正を行った。 第二段階として、口腔がん患者9名に対して1)上記質問紙調査、2)治療期間中の食事摂取量の増減・日内変動調査3)指向尺度調査4)口内炎に対する段階的分類調査、5)舌所見(舌苔、乳頭発赤・腫脹)の観察、6)口腔内乾燥分類を用いた自覚症状に対する問診、年齢、性別、喫煙の有無、義歯装着の産むの調査を実施した。構造方程式モデリング分析を行うためには残り100名程度の対象者が必要である。口腔がんという少ない対象者を確保することが困難な状況にあるなか、協力施設を拡大するなど引き続き調査を続けていく。
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