医療的ケアを必要とする慢性疾患児の状況について全国的に調査することを目的とし、一次調査として質問紙調査を行った。全国の小児専門病院17施設および大学医学部・医科大学付属病院100施設へ調査票を送付し、27施設40病棟(大学病院21施設、小児専門病院6施設)より回答を得た(回収率23.1%)。40病棟中38病棟が、過去5年間に医療的ケアを必要とする18歳以下の小児の在宅療養への移行経験が「ある」と回答しており、その数は平均12.5例であった。退院時の訪問看護依頼は、「全てのケースで依頼した」12.8%、「一部のケースで依頼した」71.8%、「依頼したケースはない」15.4%であった。また、全体の68.4%が、医療的ケアを必要とする18歳以下の入院児で現在退院に向けての調整や退院指導を行っているケースが「ある」と回答しており、一病棟平均3.2例を挙げていた。その医療的ケアの内容は、複数回答で人工呼吸器47.4%、気管切開53.5%、吸引72.1%、酸素療法45.3%、中心静脈栄養2.3%、経管栄養87.2%であり、人工呼吸器(p<0.001)および気管切開(p<0.001)の割合は、小児専門病院の方が大学病院よりも有意に高かった。 さらに、医療的ケアを必要とする慢性疾患児の在宅移行にかかわる看護師が行うマネジメントの概要を知ることを目的として、二次調査への承諾が得られた15施設を対象に、過去5年以内に在宅療養へ移行したケースについて、家族の意思決定への支援・環境面での調整・医療的ケア技術の指導、必要物品の選定と調達・発達支援・社会資源の活用・関連職種との連絡調整に関して実施した看護援助についての質問紙調査を行った。また、一次調査により把握した訪問看護ステーション30施設に対して、実施している看護援助に関する質問紙調査を行った。これらの結果を基礎とする面接ガイドを作成し、次年度の面接調査へつなげていく。
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