研究概要 |
1.先行研究の文献検討 研究目的である,看護師のワークプレイストラウマに対する脆弱・回復要因について文献検討を行ない,現在回復要因について質問紙調査の準備中である. 1)看護師のワークプレイストラウマに関する従来の研究の動向 欧米においてサリー(2003)は,トラウマによるストレスが治療されないままに放置されるとストレス状態が高まり,やがては健康問題,離職という事態を引き起こしかねないことを指摘している.しかし看護師の職場における心的外傷体験についての研究はほとんど見当たらない.本邦におけるワークプレイストラウマは,消防士(岩井・加藤・飛鳥井・三宅・中井,1998)のCritical Incident Stress(以下,CISと略記)を中心に研究されている.看護師(例えば高田ら,1996),カウンセラー(小西ら,2001)や警察官(藤井,私信)でも研究されているが報告は少ない.欧米・本邦における研究動向は,看護師にワークプレイストラウマがあるということを報告している.しかし実証的な研究が少なく,心的外傷反応の維持・回復要因については,ほとんど研究がない. 2)従来の看護師におけるワークプレイストラウマ研究の問題 (1)本邦の看護師において広義のトラウマを扱った実証的な研究がほとんどなく,救急看護師のみに言及している. (2)本邦の心的外傷を経験している看護師の心的外傷反応を低減ざせる要因についての研究がほとんどない.ソーシャルサポート,コーピング,心的外傷後の認知については,災害等の一次的心的外傷体験に関する報告はあるが,職場の二次的な心的外傷体験に関する看護師の研究はない. 上記の結果を踏まえて現在,回復要因の調査研究に向けて準備中である.
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