研究概要 |
精神科デイケア(以下,デイケアとする)の効果について検討される研究は多いが、それらの研究には評価をする共通指標が用いられていない。多くの研究者は共通指標としてのICF(国際生活機能分類)の活用を期待しているが,精神科リハビリテーション分野でのICFを活用した具体的な研究は見当たらない。ICFを活用した質問表の作成はたいへん重要であり,慎重に行う必要がある。そこで,今年度は,ICFは活用した質問票の作成を行った。 デイケアの目標は,1)日常生活行動能力の向上,2)対人関係能力の向上,3)精神健康の自己管理能力の改善,4)メンバーがそれぞれ生きがいをもてること,自分なりの目標がもてること,5)いてくれると安らぎのある人を見出すこと,6)遊びを遊びとして楽しむことができるようになることである^<1),2)>。その目標に今回の研究目的である,「通所者が自分の能力に合わせて,デイケア以外の場所でも主体的に参加できるようになること」を加えた。この7目標に沿ってICFの項目(36項目)を選択した。 精神科デイケア通所者(以下,通所者とする)の生活能力やデイケアプログラムの現状を踏まえ,LASMI,S-M社会生活能力検査,SUBU(The Subjective Well-being Inventory),QOL26,SCI(Lazarus Type Stress Coping Inventory)などの既存の質問項目を参考にして,151個の質問を考えた。それらを絞り込みまたは修正を行い,ICFを活用した通所者の生活能力を把握する質問票(42項目)を作成した。質問票の整合性について検討中であり、調査票の不具合を修正する予定である。 1)宗像恒次 1984 精神医療の社会学,弘文堂. 2)浅野弘毅 1996 精神科デイケアの実践的研究,岩崎学術出版.
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