研究概要 |
1 事例調査の継続 本年度は,母子保健分野において,市保健センター保健師が新たに把握し,その初回対応時の判断に基づいて,その後1回以上訪問を実施した事例を調査,分析した。調査地域は,人口約96,000,年間出生約850,面積約35km^2の地方工業都市で,市保健センター保健師が,平成18年度1年間に新たに把握し,その後援助継続となった10事例について,事例概要と保健師の対応を,記録物と保健師からの聞き取りにより調査した。10事例の援助開始契機は,乳幼児健診が3,関係者からが3,別居親族からが3,親からが1であった。保健師は10事例に対し,1事例あたり1回から18回訪問を実施しており,訪問1回の事例が5例で最も多かった。年度末時点での保健師の事例に対する援助方針は,10例中3例が保健師からのアウトリーチの継続を必要としていた。それ以外の6例は保健センター事業利用等による経過観察,1例は他機関に支援の中心的役割を移譲としていた。保健師の対応の結果としては、すべての事例で専門機関の相談利用など保健師以外の資源利用に新たにつながっており,うち7例は,対象が問題解決のため継続的に利用するようになっていた。 2 事例調査結果の集約と行政保健師のアウトリーチ機能のまとめ 保健師の援助開始契機は,保健事業や当事者以外の関係者が契機となる場合があること,保健師は対応を通して,より保健師側からのアウトリーチを必要とする対象を絞り込む判断をしていること,保健師の対応の結果としで資源利用に結びつくことが最も多いことなどがあげられた。本研究結果は,行政保健師のアウトリーチ機能を測る指標の開発に活用できると考えられた。
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