【目的】本研究では表在性の痛みとして病態の把握が可能な褥瘡部の痛みに焦点をあて、生理学的側面と看護師の捉える患者の痛み表現の2側面から痛みを訴えることのできない高齢者の痛みの実態を明らかにすることである。 本年度は、高齢者の痛みに関する看護師のアセスメント方法の実態を調査し、アセスメント指標の基礎資料を得る。また、痛み刺激による生理学的反応を明らかにするためのプレテストを行う。 【方法】1.高齢者の痛みのアセスメント指標をフォーカスグループインタビューにより抽出する。 対象:遷延性意識障害患者のケアに3年以上携わる看護師5名、介護士5名 褥瘡ケアに熟知した看護師、医師10名程度の計4グループ 手順:.研究の趣旨を説明し、同意書を用い同意を得た後、痛みのアセスメント方法に関してインタビューガイドにそって、インタビューをおこなった(1時間程度)。 2.痛み刺激による生理的反応を健康成人にて調査する。 対象:健康成人5名 手順:仙骨部に痛み刺激を加えたときの脳波、自律神経活動の変化を測定。 【結果】1.痛みのアセスメント指標は、言語的表現、非言語的表現に分けられた。言語的表現は、『意味の無い言葉』、『叫び』、『独語が早くなる』、『声が大きくなる』であった。非言語的表現は『表情の変化』、『自動運動の開始』、『生理的変化』であった。また急性痛と慢性痛での反応の違いも抽出された。 2.痛み刺激による脳波および自律神経活動の変化は得られた。
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