本研究では、地域住民の健康増進活動や健康課題解決に取り組む住民組織活動の一つであり、行政育成型住民組織活動である健康推進員活動に注目した。組織のネットワーク力を考えるに際し、まず組織の構成員の活動に対する意欲やモチベーションを高める必要があり、これが高まれば、組織のマネジメント力、問題解決能力、構成員同士の信頼関係の構築能力等、すなわちネットワーク力が高まるのではないかと考えた。そこで、健康推進員(以下、推進員)が活動する上で感じる満足と負担、すなわち活動満足感、活動負担感の尺度を開発し、活動の評価指標とすることを目的に調査を行った。 平成17年9月、S県A市、B市の健康推進員604名を対象に、郵送法による無記名自記式の質問紙調査を行った。予備調査として行ったインタビューの結果を参考に、活動満足感10項目、活動負担感14項目を作成し、調査項目とした。対象者には、調査の趣旨、調査への協力は任意であり、匿名性を保持することなどを記した調査依頼書を調査票に添付し、調査票の返送をもって調査への同意とみなした。 活動満足感、活動負担感それぞれについて因子分析を行ったところ、活動満足感は「活動満足」5項目、「自己利益」4項目の2因子、活動負担感は「日常生活負担」5項目、「精神的負担」6項目、「活動量負担」3項目の3因子の尺度が得られ、尺度の信頼性、妥当性も概ね確認された。
|