研究概要 |
本年度は第一段階として,農業従事高齢者の農業労働実態,健康状態及び生活体力の現状を明らかにし、農業従事高齢者の生活体力の関連要因を明らかにした. 1.調査方法:鳥取県西部で主に農業を産業とする中間農業地域の南部町とした(平成17年8月〜10月). 2.対象者:農業従事高齢者、対照群として非農業従事高齢者. 3.調査内容:(1)対象者の属性(年齢、性別、配偶者の有無、家族構成)(2)従属変数である体力の関連要因と推測される健康状態(既往歴,現病歴,体組成,骨密度,ウエスト・ヒップ比)および日常生活状況.体組成は,TANITAの体組成計,骨密度はアロカAOS-100で測定した.生活体力(歩行能力,身辺作業能力,手腕作業能力,起居動作),握力,脚筋力を測定した.(3)農業従事者に対して農作業負荷を調査するため、農業労働実態調査(農作業姿勢,農業継続年数,農耕面積,農休日,一日農作業時間等)を行った. 4.倫理的配慮 本研究の研究計画書を本学の倫理審査委員会に申請し,承認を得た(平成17年8月). 5.結果;以下の知見が得られた. 1.女性の生活体力の水準として,非農業者<150日以下非農業者<150日以上非農業者という結果が示された.男性では有意差はみられなかった. 2.農業従事者における男女の体力比較:握力,脚筋力は男性が有意に高かったが,生活体力は女性が全て高く,特に手腕作業と身辺作業能力では有意に女性が高かった. 3.農業従事者の体力と日常生活との相関では,男性では,買い物をよくする者ほど握力,起居能力,歩行能力,総合能力が高いという相関がみられた.女性では,炊事・家事をする者ほど歩行能力が高く,テレビを見る時間が長い者ほど,起居能力が低い相関がみられた. 今回,農作業に一番多いとされる作業も調査しており,それらの作業の運動効果や作業負荷を明らかにする研究を勧めていく.本研究の内容は平成17年度産官学連携フェスティバル2005に示説発表した.今後,学会発表を行い,看護系雑誌に投稿予定である.
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