介護者の介護時の衛生管理情況を把握するため、訪問看護ステーションの協力を得て、在宅療養者への訪問を継続すると共に、介護者、訪問看護師を対象にアンケート調査を実施した。 介護者の多くは、介護前やおむつ交換後等で手洗いを行えていたが、行動が徹底されているとはいえない状況であった。また、体調不良時のマスク着用や、帰宅時の手洗いやうがいなど、基本的な衛生行動が不足していることが明らかとなった。インフルエンザの予防接種率も高いとは言えない状況にあり、より安全で安心した在宅療養を継続していくためにも、積極的な教育的関わりが必要である。 訪問看護師への聞き取りでは、手洗いの話をすることはあっても、意識的に関わることは少ない状況にあり、訪問看護師自身が介護者への教育的関わりを自らの業務という認識が十分でないことも影響しており、訪問看護師自身の意識向上が必要である。手指衛生管理については、訪問看護ステーション単位での取り決めが行われていても、実際の訪問場面では、各訪問看護師に一任され、市販のウエットティッシュを使用するといった者もおり、十分な衛生状態が確保されているとはいえないものであった。 訪問看護師の手洗いの手技の確認を行うため、培地を用いた調査を実施した。訪問看護師の多くが手洗いの手技を意識して実施しており、手指に付着していた菌数が顕著に減少していた。しかし、多くの者に手あれがあり、訪問看護の場面で手荒れ対策の検討も必要である。 全国の訪問看護ステーションを対象に、看護場面における衛生管理の現状を把握するため、アンケート調査を実施した。これらから、病院併設の訪問看護ステーションでは、感染対策マニュアルを作成し、年に数回の研修が行われているところがあったものの、医療機関併設ではないステーションなどでは、マニュアルも作成されていないところもあり、研修システムも十分でないことが示された。
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