研究概要 |
研究目的:本研究の目的は,脳卒中急性期にあり,かつ内科的治療を受ける高齢患者のせん妄発症に対する看護師の臨床予測(Clinical Forethought)の構造を明らかにすることである.本研究では,「臨床予測」の操作的定義を「ある臨床診断,あるいは状態増の異変や転帰に対する予見の総称」とした. 17年度の進捗状況:17年度はインタビューガイドの最終調整のため,17年9月に2名の看護師にプレテストを行った.その結果,「高齢脳卒中患者の入院時に予測する危険と,その情報収集のために実施する観察」「予測する危険の優先順位,および優先順位の高齢者と成人間での差異」「せん妄発症を予測される危険とする場合の観察点,および観察視点の体得の経緯」「せん妄発症と脳卒中による意識低下との判別方法」「これまで経験したせん妄を発症患者の1例の予測の有無,兆候の把握,せん妄発症の判断の点での振り返り」を基本的な質問項目とした.17年9月〜18年3月にかけて,S市内の脳神経外科専門病院,または脳神経外科病棟を有する病院に勤務する15名の看護師からインタビュー調査を行った.現在,逐語録の作成と分析にとりかかっているところである. 17年度の結果:15名の看護師の基本属性は以下の通りである.男性が1名,女性が14名,平均年齢は32.33±9.87歳,看護師としての平均経験年数は9.86±8.88年で,特に脳神経外科領域での平均経験年数は6.73±5.12年であった.1名が准看護師で,他14名は正看護師であった.看護師経験3年未満が20,0%(3名),3〜5年未満26.7%(4名),5年以上が53.3%(8名)であった.看護の最終学歴は66.7%(10名)が専門学校卒と最も多く,次いで進学コースが13.3%(2名)であった. 18年度の実施計画:18年度前半に4名の看護師のインタビューを行い,逐語録の作成と臨床予測の構造の分析を進めていく.
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