1.介護家族のSense of Coherence(SOC)の実態把握および、介護に関する認識に及ぼす影響の検討(質問紙調査) N県内市町村在住の要介護・要支援認定者のうち、在宅サービスのみ利用している者の家族で、主たる介護者を対象とした。N県内市町村の介護支援担当課長および係長に調査研究の趣旨を説明、承諾を得た後、各市町村で開催される「介護者の会」に出向いて対象者に調査研究の趣旨を説明し、質問紙と返信用封筒を配布した。介護家族のSOCの測定は、山崎によって作成されたSOC29項目スケール日本版の簡易版13項目を用いた。また、SOCの強弱によって介護に関する認識がどのような影響を受けているかを把握する必要があるため、これまでの研究の中で開発した介護に関する認識についての22の質問項目を用い、さらに、基本的属性として主介護者の性別、年齢、介護対象者との続柄、介護対象者の介護度、年齢を調査することにより、SOCの効果を検討した。現在、質問紙の回収中であり、結果の分析を行っている。 2.SOCの構成感覚の検討および、背景要因としての心理社会的汎抵抗資源の検討(面接調査) 1.の質問紙調査の最後に、面接調査への協力の可否を尋ねる一文を加え、協力が可能である場合には連絡先および氏名を記入してもらった。連絡先が記入されている者に電話連絡をとって調査研究への協力を口頭で依頼した後、対象者の都合のよい日時および場所に出向いて調査研究の趣旨を説明し、同意書を用いて研究の承諾を得た。介護体験内容や介護に関する認識を明らかにするために半構成的面接を行い、SOCの強弱により、その仮説的な構成感覚である把握可能感・処理可能感・有意味感の差異の有無を質的に検討し、介護に関する知識やソーシャルサポート、保健予防志向性等の心理社会的汎抵抗資源の背景を明らかにした。現在、3件の面接調査を行っている。
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